学習の手引き

ロバート・B・ジャクソン教授のものがたりはいかがでしたか?
ここは、みなさんがものがたりについて復習したり、理解を深めたりするためのページです。
ここだけに書いてあることもありますよ!

<対象:10歳以上>


まずはクイズです!

問1:空気中の二酸化炭素が増えると、植物や土にどんな影響を与えるでしょう。

1. 植物は育ちにくくなり、土の炭素は増える

2. 植物はよく育つが、土の炭素は減ることもある

3. 植物は育ちにくくなり、土の炭素は減る


問2:ジャクソン教授が「最初にはいしゅつ量の削減に取り組むべき」と言っている温室効果ガスは、次のうちどれでしょう。

1. 二酸化炭素

2. メタン

3. フロンガス


問3:大気中でのメタンの寿命は、だいたいどれくらいでしょう。

1. 約1年

2. 約10年

3. 約100年


こたえ

問1:空気中の二酸化炭素が増えると、植物や土にどんな影響を与えるでしょう。

こたえ:2. 植物はよく育つが、土の炭素は減ることもある

空気中の二酸化炭素が増えると、植物の成長は早まり二酸化炭素を吸収する量は増えます。しかし同時に、土の中の微生物が有機物(落ち葉など)を分解し、窒素やリンなどの養分を取り出すはたらきも活発になります。この分解の過程で、有機物にふくまれる炭素の一部は二酸化炭素として空気中に戻ります。そのため、土の中の炭素の量が減ることもあるのです。

問2:ジャクソン教授が「最初に排出量の削減に取り組むべき」と言っている温室効果ガスは、次のうちどれでしょう。

こたえ:2. メタン

メタンは、短い期間で見ると二酸化炭素の約90倍も強力な温室効果ガスです。しかもメタンは、大気中濃度の増加のペースが速く、光化学スモッグを引き起こしやすくする、など人間の健康にも関わるため、ジャクソン教授は、まずメタンの排出削減から取り組むべきだと考えています。

問3:大気中でのメタンの寿命は、だいたいどれくらいでしょう。

こたえ:2.約10年

メタンは強い温室効果をもつ一方で、大気中にとどまる時間(寿命)が10年前後と二酸化炭素に比べて短いのがとくちょうです。だからこそ、その排出を減らすことができれば10~20年以内に世界の平均気温の上昇を最大0.5℃も抑えられる可能性があります。


ここはおさえておこう

大気中の二酸化炭素濃度が上がると、植物はよく成長しますが、土に貯蔵される炭素の量は減ることもあります。

メタンは、短い期間で見ると、同じ重さの二酸化炭素より温暖化への影響が大きい温室効果ガスです(20年間で比べるとおよそ90倍)。

自然起源のメタンは世界全体の排出量の約3分の1、残りの約3分の2は、人間の活動によるものです。

メタンは大気中にとどまる時間(寿命)が約10年と短いため、排出を減らすと10~20年以内に世界の平均気温の上昇を最大0.5℃も抑えられる可能性があります。


もっとくわしく

どうやって「見えないガス」を見つけるの?

メタンはとうめいで、目では見えません。だから研究では、メタンそのものを見る代わりに、空気の中のメタンが「まわりより少し多い場所」を探して、どこから出ているのかを調べます。ジャクソン教授たちは、そのために大きさのちがう“道具”を使い分けてきました。

1)街を車で走って「れポイント」を地図にする(移動観測)

車にとても感度の良い測定器を積み、街の道路を走りながら空気を調べます。メタンには“におい”がないのですが、赤外線吸収のとくちょうなどから空気中のメタンの濃度を測ることができます。
たとえば、ある地域で周りよりメタンの濃度が高い場所が見つかると、「このあたりからメタンが漏れているかもしれない」と考えられます。実際、ある都市での調査では、車で街の中を走り回って測定し、3000か所以上の“漏れの疑いが強い場所”を見つけました。つまり、車で走る方法は、街のあちこちの漏れを探すのが得意です。

2)人工衛星で「大規模な排出源」を見つける(衛星観測)

車は街の細かな漏れを探すのが得意ですが、地球全体を見るには限界があります。そこで役立つのが人工衛星です。
人工衛星は上空から広いはんを観測し、赤外線の反射や吸収の分布を推定することでメタン濃度が高い空気の広がりを、雲のようなかたまりとしてとらえることができます。これにより、次のようなことが見えてきます。
▪どの地域でメタンの排出が多いか
▪どのせつの近くでメタンが排出されているか
衛星観測の最大の強みは、一気に広いはんを調べられることです。

そして教授たちは、「衛星が見つけたものが本当に正しいのか」を確かめることも重視してきました。見つけるだけでなく、社会で使える道具にするために、どこまで正確にわかるのかを検証することまでが研究の一部になっています。

3)「暮らしの排出」を直接つかまえる(屋内での実測)

車や衛星で調べるのは主に屋外ですが、さらに教授が注目したのは、家の中にもメタンの排出源があるという点です。たとえばガスコンロやオーブンなどのガス器具です。

ここで大事なのは、「メタンが出る」と一言で言っても、出方には大きく二種類あるということです。

① 漏れ出すメタン
ガス器具や配管に、目に見えない小さなすき間があると、火をつけていない時でも、ガスが少しずつ出てしまうことがあります。これがいわゆる「ガス漏れ」です。

② 燃え残るメタン
ガスコンロを使うと、本来はメタンガスが燃えて、主に別の気体(たとえば二酸化炭素など)に変わります。ところが、点火や消火のしゅんかんなどに、燃えきらないままメタンが出てしまうことがあります。これが「燃え残りのメタン」です。

教授たちの調査では、家庭のガス器具から出るメタンの量を、使用中だけでなく、点火時・消火時、さらに使っていない時も含めて測定しました。その結果、意外にも「使っていない時にも出ている」場合があることが分かってきました。

3つを並べると、何がちがう?

街の中の小さな漏れを、場所をしぼって探す(細かい地図づくり)
衛星 地球規模で“大きな排出源”を見つける(広いかんカメラ)
家の中 暮らしの中の排出を確かめる(身近な現場検証)

ジャクソン教授は見えないメタンガスを見つけるために、様々な方法を組み合わせてきました。だからこそ、メタンの問題は「どこか遠い場所の話」ではなく、「地球全体の話」であり、同時に「私たちの暮らしの話」でもあることが分かってくるのです。

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ロバート・B・ジャクソン教授

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