例えば、犯罪が増えると、防犯設備の需要が高まり、警備会社や警備員の活動が盛んになります。これらは経済活動としてGDPに計上されますが、社会的には犯罪そのものが大きな損失をもたらしています。同様に、大規模な自然災害が発生すると、復興や再建のための経済活動が活発化し、GDPが伸びることがあります。しかし、災害によって失われた命やコミュニティの損失はGDPに反映されません。
こうした欠陥のため、GDPは「人々の幸福」や「社会の持続可能性」を正確に測る指標としては不適切であり、むしろ、GDPの成長を追求し続けることが、環境破壊や社会的不平等を拡大させる原因となっているとコスタンザ教授は考えています。