指導者のかたへ

「ブループラネット賞ものがたり」は、環境学習にも広くご利用いただきたいという思いから、ひとつの「ものがたり」に対して「学習の手引き」「参考情報」そしてこの「指導者のかたへ」という、三つの「環境学習補助コンテンツ」を用意しています。
このページでは、指導者のかたが教材として利用することを想定し、指導の助けになるような情報を掲載しています。
学校での環境学習の授業や、お子さまの自主学習などに、ぜひお役立てください。

<対象:学校の先生、保護者など、教育指導にあたるかた>


指導に向けたものがたりの再確認

ロバート・コスタンザ教授は、生態経済学の分野で著名な研究者であり、自然の価値を科学的に評価する研究を通じて、持続可能な社会の構築に大きく貢献してきました。コスタンザ教授は1997年に、生態系が人間社会に提供するサービスの価値を数値化し、その経済的意義を明らかにする論文を発表しました。この研究は、生態系サービスの価値を地球規模で評価する初めての試みであり、環境保護と政策立案の分野に新たな視点を提供しました。
自然の恩恵は、空気や水の浄化、気候の調整、食料の供給など、多岐にわたりますが、これまでその重要性は十分に理解されていませんでした。コスタンザ教授は、生態系サービスが人間社会にとってどれほど大きな価値を持つのかを示し、自然環境の喪失が私たちに与えるリスクを強調しました。この研究は、IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)設立や、持続可能な発展に向けた議論の活性化に寄与しました。


指導方法の例

指導に用いる適切な教材が見当たらない場合は、以下を参考にしてください。

①生態系サービスの重要性を実感する

例えば洪水を防ぐ湿地や空気を浄化する森林、食料を供給する海など、身の回りの生態系サービスの具体例を示しながらその役割を説明します。そして、「もし湿地や森林がなくなったら、私たちはどんな不便を感じるだろう?」といった問いを投げかけ、生徒たちが生態系サービスの重要性についてより深く理解するのを助けます。

②当事者になりきって考える

発展的な学習が可能な生徒達には以下のようなロールプレイを行ってみましょう。

ロールプレイ形式での意思決定シミュレーション
目的: 自然環境と経済活動のバランスを考慮した意思決定を体験する。
設定: 「湿地を埋め立ててショッピングモールを作る計画が持ち上がっている」という設定で、ディスカッションと交渉を行う。
方法: 生徒をいくつかのグループに分け、それぞれ「地元自治体」「湿地保全団体」「開発業者」「地域住民」などの役割を与える。役割ごとの立場で、「地元経済への影響」「雇用の創出」「湿地が提供する生態系サービス(洪水防止・生物多様性保全など)」などの観点から、どのような条件や折衷策が考えられるかを探る。
最後に、合意案をまとめて発表する。
ポイント: 実際の地域社会で起こりうる対立や課題をリアルに体験し、持続可能な発展とは何かを具体的に考えさせる。

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ロバート・コスタンザ教授

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