2. 科学的えんのしくみ

IPBESの活動

IPBESは、生物多様性や「自然が人間にもたらすもの(NCP)」に関する知見を評価し、政策立案、意思決定、行動のための最新の科学的知見と根拠を提供しています。事務局はドイツのボンに置かれています。最終的な目的は、生物多様性と生態系サービスに関する科学と政策の接点を強化し、生物多様性の保全と持続的な利用、長期的な人類のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良い状態にあること)と持続可能な開発にこうけんすることです。

IPBESの事務局(ボン(ドイツ))

IPBESの事務局(ボン(ドイツ))

IPBESは、科学と政策の連携強化という使命のもと、自然に影響をあたえる可能性のある政策立案者、意思決定者、影響力のある立場の人々などに対し、最新の科学的知見と根拠を提供します。ただし、政策立案者に対するかんこくや提案は行いません。IPBESの目的は適切で信頼性のある情報を提供することであり、政策の指導やようを行うことではないからです。情報提供にてっすることによって、信頼性、独立性、客観性をしているのです。

設立当初、94か国であった加盟国は、現在では150か国(2025年4月時点)に増加しており、その数は今も増え続けています。

報告書の作成

IPBESは、科学的評価の報告書作成によって情報と根拠を提供します。これはIPBESの最も重要な活動の一つです。

加盟国の代表は年に一度集まって議論し、生物多様性条約での決定内容などもこうりょして、評価テーマを決定します。報告書のテーマが決まると、IPBESは報告書を作成する専門家を選びます。これらの専門家たちは無ほうしゅうで、自身の研究や業務を続けながら報告書を作成し、IPBESの事務局はかれらのその作業をサポートします。

報告書の完成までには2~3年を要し、数百人もの専門家が関わります。

IPBESについて

IPBESについて

自然が人間にもたらすもの(NCP:Nature's Contributions to People)

IPBESの報告書に出てくる「自然が人間にもたらすもの(NCP)」とは、人間が自然から受けるすべての関わりのことで、「自然の」と呼ばれることもあります。NCPは大きく以下の3つに分類されます。

  • ①自然の調節機能による寄与(水質じょう、気候調節、土壌形成など)
  • ②自然による物質的な寄与(食料、エネルギー、住居、原材料など)
  • ③自然による非物質的な寄与(学習・インスピレーション、身体・心理的体験など)

人間が自然から受けるおんけいを指す「生態系サービス」と似ていますが、NCPはしょくりょう供給や水浄化などの良い影響だけでなく、病気のでんしょくなどの悪い影響もふくんでいます。

また、多様な視点、知見、価値観を取り入れるため、報告書作成の過程で先住民や地域社会の人々との対話を行い、彼らの知識を取り入れていることも、IPBESの報告書のとくちょうの一つです。先住民や地域住民はその土地の環境と密接に結びついた生活をしており、環境悪化や気候変動の影響を多く受けています。また、彼らが育んできた知識やによって、西洋の科学ではわからなかったことが明らかになることがあります。そうした知識を取り入れることで、IPBESの報告書はより豊かでほうかつ的なものとなっています。

3. 100万種が絶滅の危機に!?

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生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)

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