3. 解決に向けた取り組み

三人の教授たちはマイクロプラスチックが海洋生物に与える影響を研究しながら、その解決に向けても取り組んでいます。

リンデキューさんが取り組んでいるのが貝を使ったマイクロプラスチックの除去です。ムール貝などの二枚貝は海水を体内でろ過することでそこに含まれるプランクトンなどを摂取して栄養を得ています。そして成体のムール貝は1ぴきで1日に40リットル以上の大量の水をろ過することができます。さらに、貝類は他のぜいじゃくな生物に比べて、プラスチックせんに対するたいせいが非常に優れています。このような貝は、海水中に含まれるマイクロプラスチックもプランクトンなどと一緒に体の中に取り込み、5キログラムのムール貝は、わずか1時間で25万個のマイクロプラスチックを海水から取り除くことができることがわかりました。

取り込まれたプラスチックのほとんどはふんとしてまた排出されてしまいますが、ムール貝を入れたかごをろう型容器に取り付けた装置を用いることで糞とともにマイクロプラスチックを回収することに成功しました。この方法の素晴らしいところは、世界の各地域に生息するどのような二枚貝を使っても同じことができるところです。

ムール貝によるマイクロプラスチック除去装置

ムール貝によるマイクロプラスチック除去装置

ギャロウェイさんもさまざまなぎょうと協力して従来のプラスチックの代わりとなる製品を作る研究をしています。例えばバナナの皮を利用して、プラスチックの良いとくちょうを失わずに、自然の中で分解されやすい材料を作ろうとしています。リンデキューさんとの共同研究では、廃棄物を利用した新しい素材の開発も行っています。

実は世の中にはすでに生分解性プラスチックと呼ばれる、自然の中で分解され易いプラスチックもありますが、環境によってはあまり分解されない場合があります。トンプソンさんとリンデキューさんはこの問題にも取り組んでおり、様々な材料がいろいろな環境でどのように分解されるのかを研究し、環境負荷の小さなプラスチックを開発するための情報を提供しています。

4. 身近な問題

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トンプソン教授、ギャロウェイ教授、リンデキュー教授

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