1. こうしんのゆくえ

リチャード・トンプソンさん

リチャード・トンプソンさんは、1963年イギリスのノッティンガムで生まれました。かれの家には素敵な庭があり、ちいさいころはそこに大きな穴をって池をつくったり、近くの川に生き物をつかえに行ったり、水辺の自然に親しんで過ごしました。また、海底の世界をテーマにしたドキュメンタリー番組にきょうれつりょうされたことも後の彼の人生にえいきょうしたのかもしれません。

学校では自由な探求心を尊重してくれる生物の先生に出会い、生物学に興味を持つようになりましたが、高校卒業後は学問への道を考えながらも、一度ビジネスの世界に飛びました。バースデーカードやクリスマスのかざはんばいする仕事を7年間ほど行いましたが、成功を収めたものの、その仕事には個人的なじゅうそく感もなく、高等教育への道をさくするようになりました。を利用してダイビングやシュノーケリングを楽しむなど、子どものころからいだいていた海への興味から、本人にとってはごく自然な流れとして海洋生物学の世界へ向かうことになりました。

リチャード・トンプソンさん

ニューカッスル大学に入学したトンプソンさんは、ゆうしゅうな成績を修めました。学士号取得後、一時的に建設現場での肉体労働も経験しながら、学問にも集中し、リバプール大学で博士課程へと進みます。博士課程では、貝類とそのえさとなるかいそうがどのような関係でつながっているのかを研究しました。貝類によって海藻が食べられすぎると、そこに住んでいる別の生き物たちに影響をあたえ生態系に変化が生じます。逆に、海藻類が増えると貝類は減少し、生態系全体が再構築されます。このような生態系のバランスがどのように保たれているのかを調べたのです。

博士課程での研究は、自然の中のせんさいきんこうを理解するのに役立ちました。それだけでなく、のちの研究で人類の行動がどのように自然に影響をおよぼしているかを理解する助けにもなりました。

タマラ・ギャロウェイさん

タマラ・ギャロウェイさんは、イングランドのサセックスで生まれ、1さいの時にグラスゴーへ引っしました。4人家族で、グラスゴー大学でロシア語を教えていたお父さん、先生だったお母さん、お兄さんと暮らしていました。街のこうがいにあった家はスコットランドの美しい自然に近く、ギャロウェイさんは自然の中を散歩したり、家の中では人形と遊んだりすることがとても好きでした。両親とも好きなことをやらせてくれたことに今でもとても感謝しているそうです。

子供のころから好奇心がおうせいで、物事が動く仕組みを知ることに関心がありましたが、科学や生物学に関心をいだくようになったのはグラスゴー大学に入ってからのことでした。大学では、一年目に言語学、地理、歴史、科学など様々な科目を広く学び、それから専門課程で生化学を学びました。ギャロウェイさんが生物学に魅了されたのは、大学の頃でした。生命のメカニズムのしょうさいな説明、人間の存在の複雑さ、そして生命体の進化は、かのじょにとってとてもりょくあるものでした。そして海洋の深部から広大な空に至るまで、さまざまな生き物が持つ独自の特性をこの学問がいかに探求し、その多様な適応のを解き明かしていくのかにきょうたんしました。生物学のおくぶかさを理解し、これらの現象に完全に魅了されてしまいました。

右はお父さん

右はお父さん

その後、生化学の分野に進んだ彼女は、エディンバラ大学医学部でコレラきんの毒についての研究をしましたが、そこである生態学者から人間のこうかんきょうにどのような影響を与えているのかについての講義を受けました。トラック何台分のゴミがはいしゅつされているのか、どれだけの石油を燃やしているのか、川から水をどれだけみ出しているのか、それらが環境にどのような影響を与えているのかという話です。ギャロウェイさんはそこで人間が環境へ残す影響に対する認識がひどく不十分であることに気づいたのです。

エディンバラ大学で生化学の博士号を取得したギャロウェイさんは、卒業後パートナーといっしょに暮らすためにロンドンに引っ越し、製薬会社でりんしょうしんだんの仕事にたずさわりましたが、子どもができたことをきっかけに、7年間子育てに専念しました。

ペネロープ・リンデキューさん

ペネロープ・リンデキューさんは、イギリス南西部のトットネスきんこうの村で生まれ育ちました。郵便局員のお父さんと先生だったお母さん、それにお兄さんという4人の家族でした。活発な女の子だったリンデキューさんは多くの時間を森や野原に囲まれた自然豊かな環境で遊びまわって過ごしました。好奇心も旺盛で、まだ2歳だったころにおしゃべりする人形からどうやって音が出ているのか調べようと、ドライバーを使って分解してしまったこともあったそうです。

中学生になると、数学や化学、物理、生物、芸術に興味を抱き、高校生になる頃には特に生物学に強い関心を抱くようになりました。あらゆる生き物たちがどのような役目を持ち、どのようなしくみで動き、はんえいし、生き残るのかを、物体を構成する分子のレベルから生き物たちの織り成す生態系のレベルまで、広い視点で探ることができる分野であることにこの上ない魅力を感じたのです。

その後バース大学で応用生物学を学ぶことになったリンデキューさんは、教室内だけでなく、様々なフィールドワークをしたり、実験をしたりする研究を行い、分子生物学、生物化学、薬理学、生態学などを学び、生物学のはばひろい基礎を習得しました。

リンデキューさん

2. マイクロプラスチック

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トンプソン教授、ギャロウェイ教授、リンデキュー教授

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