学習の手引き
モハン・ムナシンゲ教授のものがたりはいかがでしたか?
ここは、みなさんがものがたりについて復習したり、理解を深めたりするためのページです。ここだけに書いてあることもありますよ!
<対象:小学校高学年以上>
まずはクイズです!
問1:ムナシンゲさんは、世界の問題を解決する方法として「サステノミクス」の4つの原理を発表しています。以下のうち、当てはまらないものはどれでしょうか。
問2:豊かな国はかつて、豊かになる過程で環境を破壊してきました。ムナシンゲさんは、貧しい国がこれから豊かになることについてどのように言っているでしょうか。
こたえ
問1:ムナシンゲさんは、世界の問題を解決する方法として「サステノミクス」の4つの原理を発表しています。以下のうち、当てはまらないものはどれでしょうか。
こたえ:1. 自分で判断せず偉い人の指示を待って行動すること
サステノミクスの4つの原理を復習しましょう。
- ①サステノミクスの三角形(経済・環境・社会)を調和させること
- 経済・環境・社会という3つのバランスをとり、統合すること。
- ②自主的に行動すること
- 私たち一人ひとりが、誰かの指示を待つのではなく自分で考えて動くこと。
- ③壁を乗り越えること
- 私たち一人ひとりの心の持ちようによって、4つの壁(自分の中の壁、人との間の壁、空間的な壁、時間の壁)を乗り越えること。
- ④とにかく実行
- 問題解決のために、とにかく解決策を実行すること。
「1. 自分で判断せず偉い人の指示を待って行動すること」は②の原理と反対ですね。大切なのは自分からやろうとすることです。
問2:豊かな国はかつて、豊かになる過程で環境を破壊してきました。ムナシンゲさんは、貧しい国がこれから豊かになることについてどのように言っているでしょうか。
こたえ:3. 貧しい国は新しい技術や方法によって、環境を破壊せず豊かになることができる。
「公正な包括的グリーン成長(BIGG)」では、持続可能な開発にはそれぞれの国の文化や社会状況に応じて異なる道筋があることを示しています。まず豊かな国が新しい技術などを使って環境への負荷を減らすべきであり、貧しい国はそうした新しい技術を使うことによって、かつて豊かな国が通ってきた無駄が多いやり方を真似することなく、環境に負荷をかけずに繁栄していくことができるのです。ムナシンゲさんは、経済発展のためなら環境を破壊してよいとも、環境を守るためなら経済発展をしてはいけないとも言っておらず、経済と環境は両立可能であることをこの道筋によって示しています。
ここはおさえておこう
世界の問題を解決するのに大切なのは、次の4つ。①サステノミクスの三角形(経済・環境・社会)を調和させること、②自主的に行動すること、③壁を乗り越えること、④とにかく実行すること
持続可能な開発には、豊かな国と貧しい国で異なる道筋をとる必要がある。
もっとくわしく
豊かな国と貧しい国の1週間分の食料
これまで豊かな国と貧しい国では持続可能な開発の道筋が異なるとお話ししてきました。ここでは具体的にどのような違いがあるのか、ムナシンゲさんの挙げている例をご紹介します。
左は西洋のある豊かな家族の一週間分の食料を示した写真です。4人家族ではとても食べきれなそうなほどたくさんの食料が並んでいます。包装も豪華です。
右はアフリカのある貧しい家族の同じく一週間分の食料を示した写真です。6人家族のようですが、西洋の家族よりはるかに少なく質素な食料しか並んでいません。これだけではとても足りなそうです。
世界で生産された食料のうち、3分の1は廃棄されています。8億人が飢えているなか、アメリカでは家庭の食料の半分が、ヨーロッパでは30%が廃棄されているのです。
2つの家族のうち、変わるべきなのはどちらでしょうか。もちろん西洋の家族です。彼らが食料を買いすぎなければ、無駄になる食材や包装を減らすことができます。生活の質を落とす必要はなく、お金もかかりません。かえって貯金ができてよいかもしれません。彼らは食料の消費を減らしても十分に豊かな生活が保てるのです。これが、ムナシンゲさんがまず豊かな人たちに消費を抑えるよう求める理由です。
アフリカの家族はもちろん食料の消費を減らす必要はありません。彼らは今でも食料が足りず、それは持続不可能な状態だからです。もっとたくさんの食料を得て消費を増やし、豊かになるべきです。ただ、豊かになっていく際にはBIGGの道筋に沿って、新しい技術などを使って環境に負荷をかけないやり方をすればよいのです。