1. さまざまな学問をさまざまな国で

子ども時代

モハン・ムナシンゲ教授は1945年にスリランカの当時の首都コロンボ で生まれました。元気で社交的、勉強もスポーツも得意、読書も大好きと、才覚あふれる少年でした。当時はテレビもけいたい電話もコンピューターゲームもない時代で、小さいころは自然の中で木登りをしたり魚りをしたり、小学生になると友達と自転車で走り回ったり自分で反射望遠鏡を作って星を観察したり……いつも外で遊んでいる子どもでした。

お父さんはスリランカでトップクラスの技術者で、モハン少年はお父さんをとても尊敬していました。お母さんは音楽家で作家、国の文学賞も受賞した才能溢れる優しい人で、モハン少年によく勉強を教えてくれました。立派な両親と6さい以上はなれている3人のお姉さんにかわいがられ、モハン少年は幸せに育ちました。

1946年、1歳

1946年、1歳

1953年、8歳 初めてのペット

1953年、8歳 初めてのペット

高校~大学生時代

高校に入ると、ムナシンゲ青年は特に英語と数学と物理に関心をいだくようになりました。小さいころからお母さんに英語と数学を教わっていたことや、高校で物理と数学を熱心に教えてくれる素晴らしい先生に出会ったことがその理由です。

1961年、16歳 象とともに

1961年、16歳 象とともに

大学はスリランカを出てイギリスのケンブリッジ大学に入学、工学をせんこうしたのは尊敬するお父さんのえいきょうによるものでした。次にアメリカにわたり、マサチューセッツ工科大学で電気工学の修士号を取得しました。続いてカナダに行き、1973年、マギル大学でもともと関心のあった物理学の博士号を取得しました。

1965年、20歳

1965年、20歳、ケンブリッジ時代
スイスへのスキー旅行

さらには開発じょう国の貧困層を助けたいという想いから、カナダのコンコーディア大学で経済学の博士号を取得しました。ムナシンゲさんはマギル大学で物理学の博士課程をしゅうりょうしつつあった1972年、カナダのモントリオールにある計量経済研究所(IIQE:International Institute of Quantitative Economics)に入所しており、そこの所長、イナガキ教授が経済学を学ぶことをすすめてくれたのがきっかけでした。

1967年、22歳

1967年、22歳、MIT時代

1973年、27歳

1973年、27歳、マギル大学卒業

3つの国の4つの大学で工学・物理学・経済学と異なる学問を学んだムナシンゲ青年の熱意とエネルギーにはおどろくばかりですね。このようにさまざまな学問を学んだことは、その後のムナシンゲさんにとって大いに役立っています。語学と数学はぶんせき能力とコミュニケーション能力を養ってくれました。工学によって物事の仕組みを意識するようになり、問題に対して現実的な解決策を探ろうとする姿勢が身につきました。物理学を通じて宇宙がなぜ今のような状態になっているか深く考えるようになりました。経済学は社会へのけ橋となってくれました。そしてさまざまな国の学校で学び、学生時代から世界中を旅行してきたことでムナシンゲさんは視野を広げ、各国の文化や人々に敬意を持つようになりました。

こうした学問をばんとして、ムナシンゲさんはエネルギー、水、運輸、デジタル技術、かんきょう資源といったさまざまな分野の仕事をするようになり、やがては貧困、災害、気候変動、持続可能な開発といった、学問のかきえた複雑で大きな問題に取り組むようになります。

2. 持続可能な開発を実現するための原理

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モハン・ムナシンゲ教授

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