指導者のかたへ
「ブループラネット賞ものがたり」は、環境学習にも広くご利用いただきたいという思いから、ひとつの「ものがたり」に対して「学習の手引き」「参考情報」そしてこの「指導者のかたへ」という、三つの「環境学習補助コンテンツ」を用意しています。
このページでは、指導者のかたが教材として利用することを想定し、指導の助けになるような情報を掲載しています。
学校での環境学習の授業や、お子さまの自主学習などに、ぜひお役立てください。
<対象:学校の先生、保護者など、教育指導にあたるかた>
指導に向けたものがたりの再確認
開発経済学者のモハン・ムナシンゲ教授は長年、不平等や環境の問題に取り組み、開発をより持続可能なものにするための枠組み「サステノミクス」、それぞれの国の発展段階に応じて持続可能な開発に異なる道筋を求める「公正な包括的グリーン成長(BIGG)」、世界の生産物のほとんどを消費する富裕層を対象として消費抑制を求める「ミレニアム消費目標(MCGs)」など、現在の「持続可能な開発目標(SDGs)」に通じるさまざまな重要な考え方を発表してきました。
ムナシンゲさんの進める問題解決の方法には、私たち一人ひとりが始められるものが多くあります。指導にあたっては、ムナシンゲさんの提唱する考え方を元に、私たちが行動や考え方を変えるための具体的なプロセスを体験する機会を提供するとよいでしょう。
指導方法の例
指導に用いる適切な教材が見当たらない場合は、以下を参考にしてください。
サステノミクス・ワークショップ
サステノミクスの4つの原理に沿って、持続可能な開発について学び、自分にできることを考え、行動する体験です。手順に沿って進めることで「こうすればできる」という手ごたえを感じてもらい、行動のハードルを下げ、今後の継続を促すことがねらいです。
①サステノミクスの三角形(経済・環境・社会)を調和させること
持続可能な開発を進めるにあたって解決すべき問題について、自由に書き出します。サステノミクスの三角形や持続可能な開発目標(SDGs)を参考にして、経済・環境・社会の3要素を念頭において整理するとよいでしょう。
例:貧富の差、男女格差、地球温暖化、資源枯渇、新型コロナ…
②自主的に行動すること
①であげた問題の解決に向けて、自分でやれそうだと思うことについて目標を立てます。大きすぎる目標よりは、小さくても毎日確実に続けられる目標がよいでしょう。
例:1カ月間、毎日マイボトルを持ち歩こう。
ムナシンゲさんは著書「Sustainable Development and Climate Change Made Easy」の中で以下のように私たちができることを例示していますので参考にしてください。
持続可能な開発 あなたにできること |
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家 | オフィス |
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移動 | その他 |
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③壁を乗り越えること
②で立てた目標を達成するにあたって、壁となりそうなことを書き出します(自分の中の壁、人との間の壁、空間的な壁、時間の壁など)。次にその壁を乗り越えるための工夫や自分にとってのメリットを目標に盛り込み、実現可能性を高めていきます。
例: 1カ月間、毎日マイボトルを持ち歩こう。
自分の中の壁 | マイボトルは重い。飲み物を用意するのが面倒くさい |
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乗り越える方法 | まずは小さなマイボトルを持つ。飲み物は水にすれば用意がかんたん。 |
メリット | 容器入りの飲み物を買わずに済み、ゴミが出ない。 |
④とにかく実行すること
後は実行するのみです。目標の達成状況については定期的に共有や評価をする機会を設け、ゲーム形式を取り入れるなど、楽しく自発的に続けられるようにするとよいでしょう。