科学者の使命
ここまでご紹介してきたとおり、教授はこれまで科学者として研究しているだけではなく、わかったことを人々に発信することをとても大事にしてきました。そのために影響力の強い人たちとも連携し、政治の場に介入することもありました。こういったことをよく思わない人たちもいます。
でも、これが教授の信念です。第二次世界大戦のころ、科学者たちは「自分たちは研究はするけれど、その結果に対しては社会的責任を持たない」という姿勢をとっていました。たとえ、自らの研究によって大量破壊兵器が生まれたとしても……。
そのような姿勢は正しいどころかむしろ罪だ、と教授は考えています。研究によって明らかになったことについて誰よりもよく知っている科学者が、その社会的影響について責任がないはずがない。第二次世界大戦後のアインシュタインのように必要なら政治的な発言も辞さず、知りえたことを社会にきちんと説明することこそが科学者の使命だと、教授は確信しています。