図で、真ん中を横切っている“Paris range”と書かれたグレーの帯の部分が2℃〜1.5℃の範囲です。これを見ると、気温上昇を2℃〜1.5℃までに抑えられれば、アマゾン熱帯雨林への影響など、右側の8つのティッピング・エレメントは回避できそうです。
一方、例え気温上昇を2℃〜1.5℃までに抑えられたとしても、西南極の氷床の融解など、左側の5つのティッピング・エレメントについてはスイッチが入ってしまうかもしれないのがわかります。もし2℃目標が達成されたとしても、現在のサンゴ礁の生態系はほとんど消滅すると予測されています。
それでも、気温上昇を抑えれば抑えるほど、これらの脅威を避けることができる可能性は高まります。
図の右側には、将来の気温上昇の推移を4つのシナリオに分けてシミュレーションした結果が示されています。このまま人類が化石燃料に依存して二酸化炭素を排出し続ければ、待っているのはRCP8.5(赤)のシナリオです。これでは、気温は8℃以上も上昇してしまい、全てのティッピング・エレメントにスイッチが入ってしまいます。
そして二酸化炭素の排出削減に向けて世界が最大限に努力した場合のシナリオがRCP2.6(緑)です。もしこのシナリオを私たちが実現できれば、気温は1.5℃まで上がらず、逆にある時点からは下がっていきます。2℃目標を達成することができるのです。