学習の手引き

サイモン・スチュアート博士のものがたりはいかがでしたか?
ここは、みなさんがものがたりについて復習したり、理解を深めたりするためのページです。ここだけに書いてあることもありますよ!

<対象:小学校高学年以上>


こたえ

問1:レッドリストとは、どのような野生生物のリストでしょうか。

こたえ:3. 絶滅のおそれのある野生生物のリスト

レッドリストとは、絶滅のおそれのある野生生物のリストです。スチュアートさんが関わった国際的なIUCNレッドリストのほか、日本のかんきょう省のレッドリストなどさまざまなレッドリストがありますが、いずれも絶滅のおそれのある野生生物のリストであることに変わりはありません。

問2:以下は、両生類が絶滅の危機に瀕していることについて説明した文章です。ちがっているものを選んでください。

こたえ:2. 両生類が絶滅の危機に瀕していることと人間は関係ない。

両生類の3分の1もが世界的に絶滅の危機に瀕しています。その主な原因は3つあり、生息地の消失、ツボカビ症などの病気、そして乱獲です。そして、これらの原因は、いずれも人間が引き起こしたものです。病気は一見、人間とは関係ないようですが、ツボカビ症が全世界に広まったのは、人間社会のグローバル化によるものと考えられています。


ここはおさえておこう

レッドリストはぜつめつのおそれのある野生生物のリスト。世界の野生生物の現状を知るためにひっであり、野生生物保護のためはば広く活用されている。

両生類が絶滅の危機にひんしている原因はいずれも人間が引き起こしている。両生類はかんきょうの悪化に弱く、両生類の危機はすなわち地球環境の危機を示している。


もっとくわしく

IUCNレッドリストからわかる、野生生物の危機的じょうきょう

スチュアートさんが関わってきたIUCNレッドリスト。ここでは、IUCNレッドリストから何がわかるのかについてもっとくわしくごしょうかいします。

レッドリストはスチュアートさんたちによって見直され、1996年に新しく刊行された後、2001年にもう一度、若干の見直しがなされました。日本のかんきょう省のレッドリストなど、国や地域のレッドリストも、多くはIUCNレッドリストに準じて作られています。
最新のIUCNレッドリストのカテゴリーと、それぞれのカテゴリーにどのような野生生物がふくまれているのかについてご紹介しましょう。よく知っている動物もいるのではないでしょうか。

IUCNレッドリストのカテゴリー
カテゴリー がいよう
ぜつめつ(EX) 疑いなく最後の1個体が死亡した分類群
  • 野生生物の例
  • ドードー(Dodo)
  • フクロオオカミ(Thylacine)
  • ピンタゾウガメ(Pinta Giant Tortoise)
野生絶滅(EW) さいばい、飼育状態で、あるいは過去の分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ生存している分類群
  • 野生生物の例
  • シロオリックス(Scimitar-horned Oryx)
  • ハワイガラス(Hawaiian Crow)
  • ワイオミングヒキガエル(Wyoming Toad)



深刻な危機(CR) 野生で極度に高い絶滅のリスクに直面していると考えられる分類群
  • 野生生物の例
  • クロサイ(Black Rhino)
  • タイマイ(Hawksbill Turtle)
  • メコンオオナマズ(Mekong Giant Catfish)
危機(EN) 野生で非常に高い絶滅のリスクに直面していると考えられる分類群
  • 野生生物の例
  • アジアゾウ(Asian Elephant)
  • シロナガスクジラ(Blue Whale)
  • チチカカミズガエル(Titicaca Water Frog)
危急(VU) 野生で高い絶滅のリスクに直面していると考えられる分類群
  • 野生生物の例
  • ジャイアントパンダ(Giant Panda)
  • チーター(Cheetah)
  • ホッキョクグマ(Polar Bear)
じゅん絶滅危惧(NT) 近い将来、絶滅危惧のカテゴリーにがっする、あるいはするらしいと考えられる分類群
  • 野生生物の例
  • カッショクハイエナ(Brown Hyaena)
  • コウテイペンギン(Emperor Penguin)
  • オオサンショウウオ(Japanese giant salamander)
ていねん(LC) 分布が広いものや、個体数の多い分類群
  • 野生生物の例
  • グアナコ(Guanaco)
  • ムース(Moose)
  • ルリコンゴウインコ(Blue-and-yellow Macaw)
データ不足(DD) 十分な情報がないためアクセス分布状況や個体群の状況にもとづいて絶滅のリスクを直接的にも間接的にも評価できない分類群
  • 野生生物の例
  • ヒメアルマジロ(Pink Fairy Armadillo)
  • カリフォルニアネコザメ(Horn Shark)

※2020年12月現在
※野生生物の例の記載は和名(英名)

IUCNにより2020年12月現在、約13万種の野生生物について評価され、レッドリストでは、うち、35,500種以上の生物が絶滅危惧種であるとされています。約13万種のうち35,500種以上というのは、全体の27%以上に相当します。しかし、その割合は生物の分類によってだいぶちがいます。 IUCNレッドリストには、にゅうるい、鳥類、ちゅうるい、両生類、魚類、無せきつい動物といった動物、植物、その他(きんるいなど)がけいさいされていますが、例えば、スチュアートさん達が大規模調査を指揮した両生類については実に40%が絶滅危惧種となっています。 両生類の深刻な状況がうかがえますね。他にも、針葉樹は34%、ぞうしょうサンゴは33%、哺乳類は26%、鳥類は14%が絶滅危惧種となっています。

また、地球上には人間がすでに知っているだけでもおよそ175万種、未知の種もふくめればはるかに多くの生物が存在すると考えられており、レッドリストでは約13万種もの野生生物が評価されているといっても野生生物全体から見ればほんの一部なのです。例えば海の生き物や無脊椎動物、菌類などについては現時点で調査が十分に行なわれていないため、これから研究が進めば、さらに多くの野生生物の危機的状況が明らかになるかもしれません。
IUCNでは、IUCNレッドリストにより多くの野生生物を掲載することを使命として、現在でも作業を続けています。

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サイモン・スチュアート博士

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