しかし、1995年にちょっとした事件が起きました。
教授はその時、コスタリカの農場や牧草地の間に残された熱帯雨林でハチドリの研究をしようとしていて、そのために砂糖水を入れた餌箱を100個も設置していました。ところがその砂糖水にアフリカミツバチという危険なハチが集まってしまったのです。刺されたら人間でも死んでしまうほどの恐ろしいハチです。
「なんて危ないことをしてくれるんだ!」近くの農場の人たちはそれを知ってカンカンに怒ってしまいました。こうなったら実験は中止するしかありません。
さて、やることがなくなってしまいました。何か代わりの調査を考えなければいけません。教授はここで「森林じゃなくて農場で鳥を観察してみたらどうかしら?」と思いつきました。いつもは、木の生い茂った森林で葉っぱの影に隠れていたり高いところにいたりする鳥たちの姿を見つけるのはとても難しいことで、声でどんな鳥がいるか判断するしかないのですが、農場ならもっと見晴らしがきくので鳥の姿も見つけやすいかもしれないと考えたのです。