指導者のかたへ

「ブループラネット賞ものがたり」は、環境学習にも広くご利用いただきたいという思いから、ひとつの「ものがたり」に対して「学習の手引き」「参考情報」そしてこの「指導者のかたへ」という、三つの「環境学習補助コンテンツ」を用意しています。
このページでは、指導者のかたがボルナー教授のものがたりを教材として利用することを想定し、指導の助けになるような情報を掲載しています。
学校での環境学習の授業や、お子さまの自主学習などに、ぜひお役立てください。

<対象:学校の先生、保護者など、教育指導にあたるかた>

  • ものがたりの要旨
  • ものがたりに書かれている受賞者の功績について、要点をまとめています。
  • 指導方法の例
  • ディスカッションやグループワークの例題を、具体的な実施手順も含めて掲載しています。

ものがたりの要旨

ボルナー教授は、アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園において、長きにわたり野生動物の保護に取り組んできました。
動物学者を志した当初から、世界で直接、野生動物に関わる仕事がしたいと考えており、最初のフィールドワークはインドネシアのスマトラでサイの研究。その後は一貫して、アフリカで国立公園の整備に携わることになります。
地元の人たちとの協働の重要性を認識し、積極的に協力を求め、密猟対策、高速道路のルート変更など、動物学者の枠にとどまらない活動をしてきました。
近年では次世代の育成にも力を入れ、手つかずの大自然を残すために活動を続けています。


指導方法の例

指導に迷われた場合は、以下を参考にしてみてください。

初級編

アフリカに生息する野生動物を調べてみよう!
1. アフリカに生息している野生動物を調べてくる課題を出します。

名前と大まかな種類を書き出します。

2. 意外だったこと、勘違いを発表してもらいます。

特にありがちな勘違いとしては、

  • トラやクマはアフリカには生息していません。

意外に思うことの例としては、

  • タンザニアなどのアフリカに生息するサイとインド、ネパール、インドネシアなどに生息するサイは種類がちがいます。
  • アフリカに生息するゾウとアジアに生息するゾウは種類がちがいます。見た目もだいぶちがいます。

などがあります。

<指導のポイント!>

野生動物は、生息地などにより違いがあることを知ります。
この作業を通じて、動物は多くの種類に分化することや、その地域の特性にあった進化をするのでその環境が変われば絶滅に結びつきやすいことなどを学びます。

中上級編

自分たちの生活と身近な動植物の関係を考える。
1. 自分たちの身近に起こっている、動植物の生息を脅かしている問題を探し出します。

まずは一人ひとりで探し出す作業をしてもらいます。
ニュースになっているような大きな問題でなくてもかまいません。

  • ◯◯川で鮎が釣れなくなったと釣り人の間で話題になっている。
  • 溜池で毎年咲いているハスが今年は咲かなかったと話題になった。

といった、身近なことでかまいません。

2. 発表された問題の中から、皆で掘り下げるテーマをいくつか選びます。

児童・生徒に選ばせますが、問題の原因と対策が考えやすいテーマが選ばれるように誘導してください。
児童・生徒が発表するときに「どうしてそれが問題だと思ったか」を併せて発表させることにより、「どうすれば問題が解決するのか」のヒントがあることを認識するので、選ぶテーマの話し合いがしやすくなります。
一つだけ選んでも、複数選んでもかまいません。

3. 原因と対策を考える。

2で選んだテーマについて、グループで原因と対策を考えます。
1グループあたり5〜6人の話し合いがしやすい人数設定とします。
各グループがちがうテーマを選んでも、同じテーマを選んでもかまいません。
各グループで情報を集め、原因と対策に分けて模造紙などに書き出します。

4. 発表

グループごとに、自分たちの考えた内容を5〜10分程度で発表します。

<指導のポイント!>
  • 原因は、人から聞いた話だけでなく、裏付けとなる情報やデータを集めたり、自分たちで現地を観察するといったことを通じて整理するように指導してください。
  • 動植物が減っている、生息環境が変わってきているといった現象だけでなく、その現象に結びついている人間の行動についても考察するようにしてください。
  • 対策は、動植物を保護するための対策だけでなく、その地域で生活している人やその地域で営まれている産業などについても調べた上で、動植物の保護と人々の生活や産業とバランスをとることが可能か? またそのための方法としてどのようなことが考えられるか?といったことにも踏み込めると、動植物のことだけでなく、地域社会の全体像を理解することにつながります。

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マルクス・ボルナー教授

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