3. 科学者たちの情熱

コスタリカ生物多様性研究所の誕生

ジャンゼンさんの活動とともにコスタリカの自然環境保全に多大なこうけんをしてきたのが、コスタリカ生物多様性研究所(INBio)です。

コスタリカでは、20世紀後半にかけて森林面積が大きく減少しました。1940年に国土の75%をおおっていた森林が1987年にはわずか21%にまで減少したのです。政府はこのピンチを、国を発展させるためのチャンスととらえ、1986年に自然資源・エネルギー・鉱山省を設立し、積極的な取り組みを始めました。この時に大統領と環境大臣からのようせいを受けて国の環境もんに就任したのが、後に25年間にわたりコスタリカ生物多様性研究所の所長を務めたロドリゴ・ガメスさんです。

ガメスさん INBioの研究者とともに(右端)

ガメスさん INBioの研究者とともに(みぎはし

ガメスさんは、コスタリカで熱帯林の研究をしていたジャンゼンさんをふくむ科学者グループと「国立生物多様性研究所設立計画委員会」を設立し、生態系をどのように守っていくかを協議しました。さらにマッカーサー財団から助成を受けて「コスタリカ保全新戦略プログラム(A New Strategy and Conservation Program for Costa Rica)」を立ち上げ、保護区システムの強化に取り組みました。ジャンゼンさんに関してしょうかいした、グアナカステ保全地域は、このプロジェクトのパイロットプランから誕生したものです。

委員会は協議の末、コスタリカには生物多様性に関する研究所が不可欠という結論に達し、大統領と環境大臣に設立を提案したのですが、最初は非現実的という理由できゃっされてしまいました。当時、コスタリカでは保護区の設置自体は進んでいましたが、自然から価値を引き出すという考えには至っておらず、提案はアイデアとしては優れていたもののしょうそうだったわけです。

そこで委員会は政府にたよらず自分たちで研究所を設立することにし、これによりコスタリカ生物多様性研究所が誕生しました。実際に研究所が設立されるまでには資金調達というかべもありましたが、ここでも交渉の得意なジャンゼンさんがかつやくし、様々な団体から助成金によるえんじょを受けることに成功したのです。

4. コスタリカ生物多様性研究所の仕事

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ジャンゼン教授・INBio

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