周りを巻き込んだ活動は、地元住民とだけに限りません。保全地域を維持したり、拡大したりするためにはたくさんのお金が必要ですが、ジャンゼンさんはこの資金を得るために企業とも協力してきました。
例えば、ある時果物を使ってジュースを製造する会社が、果物を絞った後に生まれるパルプという大量の廃棄物の処分に困っていたことがありました。もちろん処理施設を作るという方法は考えられましたが、それではお金がかかる上に大量の燃料を使用するため、この企業がそれまでに作り上げてきた環境にやさしいというイメージを壊してしまう恐れがあったのです。
ジャンゼンさんはこの話を聞いたとき、パルプをグアナカステ保全地域で受け入れることを思いつきました。保全地域にすむ生き物たちの中にはパルプを食べ、分解するものがいるからです。しかも、パルプを森林火災の原因となる外来植物が繁茂してしまったエリアに撒けば、この植物を枯らし、他の植物が育つための土壌を整えることもできると考えたのです。この提案は企業にも受け入れられ、パルプを保全地域で処理する対価として1,378ヘクタールもの森林をこの企業から受け取ることができました。