科学の道へ
1958年、ダイアモンドさんはハーバード大学で生物学部を卒業し、翌年にはイギリスに渡ってケンブリッジ大学の大学院に入学しました。その後はハーバード大学に戻って医学大学院の研究所に進みました。
やっていたのは人間の胆のうの研究でした。お医者さんではなく、研究者の道を選んだのです。研究では失敗ばかりで挫折感を味わったこともありましたが、お父さんの助言や周りの協力のおかげで克服し、次第に研究成果をあげられるようになりました。
大学と大学院には合わせて11年間いましたが、そのうち20代前半の4年半ほどを過ごしたケンブリッジ大学時代には、初めてヨーロッパで生活しました。せっかくヨーロッパに来たのだからということで、イギリスだけでなくドイツでも暮らしたこともあります。
イギリスやドイツで暮らし、ヨーロッパでできた友達と語り合う中で、ダイアモンドさんは、自分とはまったく違った人生を送ってきている人たちがいると知りました。ダイアモンドさんが子どものころは第二次世界大戦の最中でしたが、ダイアモンドさんの住んでいたアメリカは爆撃されることはありませんでした。しかしヨーロッパの友達の中には、爆撃されたり、孤児になったり、お父さんが収容所に入れられたりした人がいました。ダイアモンドさんは、ヨーロッパに住んだことで、歴史上の出来事が、その人の人生に大きな影響を与えることに気づき、改めて歴史や地理に強い興味を抱くようになりました。