4. これからの社会

2020年までに「ぎょう」を変える!

TEEBの最終報告が終わったあと、2011年、シュクデフさんは国連かんきょう計画(UNEP)「グリーン経済イニシアチブ」の代表として、「グリーン経済」こそが持続可能な社会を実現する方法だと、ナイロビでかいさいされたUNEPの理事会でうったえました。
TEEBのリーダーと「グリーン経済イニシアチブ」の代表を退いた後、シュクデフさんはきゅうを取っていた銀行にもどるかどうかなやみました。環境と経済の仕事に強い情熱を持つようになっていたからです。

「目的を見つけたからには後もどりはできない」

シュクデフさんはついに銀行を辞め、環境経済学者として生きていくことに決めました。
シュクデフさんは、アメリカの名門、エール大学の林学・環境学大学院のピーター・クレイソン学長に相談し、TEEBについての講義を受け持つことになりました。そして2012年、エール大学の協力を得てしっぴつした、著書「企業2020の世界」を発表し、大きなはんきょうを得ました。

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シュクデフさんは、経済の原動力である企業をとても重要だと考えています。そして、気候や生態系など地球環境の悪化に限界がきていることを心配しています。10年後、20年後ではおそい…2020年までにこのじょうきょうを変えなくてはいけない!これが「2020」の意味です。

シュクデフさんが「1920年型企業」と呼んでいるこれまでの企業は、自分のところさえ利益がでればいい、と考え、自然を損なうことも平気でした。そうではなく、これからの「2020年型企業」には、自然を大切にし、自分のところだけでなく、公的な利益を考える企業になってほしい、そういう企業が増えれば、社会は変わる、ということを、この本でシュクデフさんは訴えています。

自然とともに、いつまでも

シュクデフさんは、今もますます精力的に活動しています。
シュクデフさんが理事を務めるGISTでは、関連組織「GISTアドバイザリー」を立ち上げ、海外も含めた国やぎょうかんきょう会計の手伝いをするようになっています。インドのGISTはいつしか世界のGISTになりました。

TEEBは2010年の最終報告で終わったわけではなく、現在は、TEEBが示した考え方を、それぞれの国や企業がじっせんしていく段階に入っています。

2016年7月、TEEBの考えを受けぎ、シュクデフさんも創立時に関わった自然資本連合(Natural Capital Coalition)が、企業が環境会計を取り入れるための考え方「自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)」を発表しました。200社以上の企業がこの考え方に賛同しています。シュクデフさんは、すでにやるべきことを始めている企業、その活動を見て感動し、なみだが出たそうです。

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「しかし200社ではまだ足りません。世界中の全ての企業にじっしてもらわなければ」

シュクデフさんの最終目標は、だれもが自然を愛し、敬意を持って動くことが、当たり前の社会にすることです。

そして、二人のむすめさんたちや、その子どもたち、そのまた子どもたちがいつまでも自然のおんけいを受けられ、人類が自然と調和して生きていけるような世界にすること。これがシュクデフさんの一番の願いです。

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パバン・シュクデフさん

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