アフリカと病気
アフリカにやってきたサックス教授の話にもどりましょう。
それまでにかなり経験を積んでいたサックス教授は、さっそくアフリカの診断を始め、アフリカを「貧困のわな」からのがれられないようにしている原因が何か、探しはじめました。例えば、アフリカの雄大なサバンナは魅力的ですが、そこに点在する農村は、満足な道もないため孤立し、それが経済の発展をはばんでいました。
もう少し調べると、それまでとはまたちがう問題が見えてきました。
当時、アフリカではエイズ・結核・マラリアといった感染症の病気が大流行していました。治療方法はすでにみつかっているのに、多くの人がその治療を受けることもできずに亡くなっていたのです。
サックス教授はまず、この感染症を何とかしなければアフリカの経済発展は難しいと考えました。