サックス教授は1954年、アメリカのデトロイトで生まれました。当時、デトロイトは自動車産業の中心地。とても活気のある街で、ジェフ(ジェフリーの愛称)はこの街が大好きでした。
このころ、「公民権運動」が始まっていました。アメリカで長いこと差別を受けてきたアフリカ系アメリカ人(黒人)が、白人と同じ権利を求めて起こした運動です。ジェフのお父さんは弁護士で、この公民権運動にも深く関わっていました。ジェフの家では、社会が公平であるために正しいことをすべきだという「社会的正義」が当たり前の考え方だったので、子どものときからその大切さを教えられて育ちました。
1967年、ジェフが13才のとき、デトロイトで人種暴動が起きました。黒人と白人が激しく衝突してたくさんの人が亡くなり、それ以来デトロイトの街は変わってしまったのです。「公民権運動」末期の、ジェフに大きなショックをあたえたできごとでした。