理解を深めよう

ハーマン・デイリー教授のものがたりはいかがでしたか?
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もっとくわしく

デイリー教授はピラミッド型のモデルを用いて、経済は最終的に人の幸せを目的としなければならないことを示しました。そして経済を成長させることは必ずしも人間の幸せにつながらないこともてきしています。
ここでは経済成長をおし進めたことが必ずしも幸福とは言えない結果を招いてしまった例を紹介します。みなさんの身の回りのかんきょうり返るきっかけにしてみてください。

デイリー教授がかつて住んでいたアメリカのルイジアナ州では、メキシコわんのデッドゾーンという問題があります。デッドゾーンとは、海の中の酸素が不足し生き物が住めなくなってしまった場所のことです。言うなれば海にできたばくのようなものです。(実際はばくにもいろいろな生き物が住んでいますが。)
デッドゾーンは主に海に流れじょうな栄養素によって作られます。農場やゴルフ場で使われる肥料、下水処理場からのはいすいなど、人間活動によって生み出された物質が川を伝って海に流れ込むのです。リンなどの過剰な栄養素はそうるいの過剰ぞうしょくうながし、さらにその藻類が死んだあと、バクテリアにより分解される過程で水中の酸素が消費されます。その結果、魚や貝などが生きていくために必要な酸素が海から失われてしまうのです。日本ではこの現象を赤潮と呼んでいます。

2021年時点のメキシコ湾のデッドゾーンの大きさは、なんと1万6000平方キロメートルにおよびます。日本の岩手県より大きな面積が死の海域となってしまったのです。

デッドゾーンを示した地図

Map of measured Gulf hypoxia zone, July 25-31, 2021. (LUMCON/NOAA)

農業の拡大によりたくさんの作物がしゅうかくでき、農家の人たちはより多くお金を得ることができたかもしれません。町に住む人はゴルフ場という遊び場ができて喜んだでしょう。しかし、同時に海に生き物が住めなくなり、漁業にも深刻なえいきょうをもたらしました。はたしてこのような結果は人間にとって幸せだと言えるのでしょうか。デイリー教授のお話を読んだみなさんも、自分の生活と重ね合わせながら、経済を拡大することと人や環境を大切にすることとのバランスについて考えてみてください。
幸いなことにメキシコ湾では人々がこのじょうきょうを変えるために動き出しています。現在、行政と農業者やその他の人たちが協力しデッドゾーンの問題解決に取り組んでいます。

参考


参考情報

ウェブサイト

ブループラネット賞関連
所属機関・研究所関連
研究・プロジェクト関連

書籍

  • ハーマン・デイリー教授の著書
  • Steady-State Economics (2nd ed.)【英語】
  • Island Press (1991)
    ISBN: 978-1559630719
  • For the Common Good: Redirecting the Economy toward Community, the Environment, and a Sustainable Future (2nd updated and expanded ed.)【英語】
  • Beacon Press (1994)
    ISBN: 978-0807047057
  • 持続可能な発展の経済学
  • にっいさおくらもとしのぶおおもりまさゆき
    みすずしょぼう (2005)
    ISBN: 978-4622071747
  • Beyond Growth: The Economics of Sustainable Development
  • Beacon Press (1996)
    ISBN: 978-0807047095
  • その他の刊行物
  • 「定常経済」は可能だ!
  • えだひろじゅん 聞き手
    岩波書店〈岩波ブックレット〉 (2014)
    ISBN: 978-4002709147

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