経済学は、人間がもっと豊かに、幸せになるにはどうすればいいのか、考える学問です。
それなのに、経済学の世界では長いこと、自然の資源が軽くあつかわれていました。ある植物園の園長さんが、ダスグプタ教授に手紙を送ってきたことがあります。
「なぜ国の経済を考えるとき、自然環境のことがめったに出てこないのでしょう。経済学者たちが、自然の資源を研究するための言葉を持っていないからですか?」
ダスグプタ教授はこの状況を変えたいと強く思っています。
そのために、ダスグプタ教授は、自然と人間がどう関わっているかを研究することで、人間の幸せや豊かさに、自然がどんなに役立ってきたかを明らかにしようとしてきました。自然が、経済学の中心であつかわれるようになること―これは、現在にいたるまで取り組みつづけている、ダスグプタ教授の大切なライフワークです。