指導者のかたへ

「ブループラネット賞ものがたり」は、環境学習にも広くご利用いただきたいという思いから、ひとつの「ものがたり」に対して「学習の手引き」「参考情報」そしてこの「指導者のかたへ」という、三つの「環境学習補助コンテンツ」を用意しています。
このページでは、指導者のかたがダスグプタ教授のものがたりを教材として利用することを想定し、指導の助けになるような情報を掲載しています。
学校での環境学習の授業や、お子さまの自主学習などに、ぜひお役立てください。

<対象:学校の先生、保護者など、教育指導にあたるかた>

  • ものがたりの要旨
  • ものがたりに書かれている受賞者の功績について、要点をまとめています。
  • 指導方法の例
  • ディスカッションやグループワークの例題を、具体的な実施手順も含めて掲載しています。

ものがたりの要旨

パーサ・ダスグプタ教授は、幅広い分野への興味と豊富な知識をもち、いずれの分野でも世界をリードする研究を行ってきました。その研究の中でも特筆すべきことは、自然資源を人間に欠かせないものとして重視してきたこと、そして、今だけでなく将来世代まで続く豊かさを常に考えてきたことです。

ダスグプタ教授は、経済学においてその価値が軽視されがちであった自然資源を重要な対象として扱い、人間の福祉(生活の質)への自然環境の貢献を実証し、経済学の中心に自然資源を導入することをライフワークとしてきました。
また、豊かな先進国の事例より、貧しい発展途上国の農村部を主な対象として研究を行ってきたことも特徴です。その結果、貧しい国でその自然資源が大きく損なわれ、その結果さらに貧困がすすむ、といったことが分かりました。
そうした研究から、貧困の問題は、その地域の自然資源の枯渇と強い相関があることを指摘し、それまで違う学問と思われてきた資源・環境経済学と、貧困・開発経済学の統合を成しとげました。

また、ダスグプタ教授は早い時期から、「世代間の公平性」という、持続可能性につながる考え方をもとに研究を行ってきました。
そして、国連持続可能な開発会議(リオ+20サミット)において、持続可能な経済発展を定量的に評価する指標として、自然資源を含む「経済のストック」と「制度」からなる「生産的基盤」の増減を問う「包括的な富の指標(IWI)」を提示しました。この指標は持続可能な経済発展に資するものとして世界に注目され、さらなる活用のため研究が続けられています。


指導方法の例

指導に迷われた場合は、以下を参考にしてみてください。

グループワーク

児童・生徒が情報を集め、それをストーリーにしてみることで、今の社会のあり方を理解し、今後のよりよい社会のあり方について議論できるようになります。

1. 2〜5人程度のグループをつくります。
以降はグループワークとしてください。
2. あらかじめ先生からキーワードを示し、それに関する情報を集める時間をあたえます。キーワードは、ダスグプタ教授の研究から、あらかじめ先生が設定します。

(例)自然資源、包括的な富、持続可能な開発、貧困 など

※図書館やインターネットを使い、その結果を整理することが想定されるため、1〜2時間という単位ではなく、1〜2週間の間に、合間を見て情報を集めるなどの方法が望まれます。

3. 一つのキーワードに1枚の大きな紙を使い、集めた情報を整理した結果を書き出します。
4. 5〜8枚程度の模造紙を並べてみて、ストーリーを考えさせます。

※ストーリーにする際、反対の概念や異なる視点からの概念を持ち込むことで、話しの進む方向が明確になる場合があります。

(例)
途上国 - 先進国
無秩序な開発- 持続可能な開発
GDP - 包括的な富
人工資本(人工物) - 自然資本(自然資源)

5. 出来上がったストーリーを、新しい紙に書き出します。
6. ストーリーの最後に、児童・生徒のメッセージや考えた結論を書きます。
7. グループごとに、成果を発表し、比較してみます。
<指導のポイント!>

児童・生徒が作成したストーリーが、ダスグプタ教授の研究が示す内容から大きく外れた場合には、どこからが食い違ったのか、ストーリーの冒頭から検証してみてください。

その場合も「間違い」とはせず、人や国の考え方には多様性があることを学ばせてください。
さらに、児童・生徒の考え方の違いがそのまま現実の社会で進んだ場合に、どのような結果をもたらすかを予想するディスカッションをさせてください。(おのずと、どの考え方が合理的かについて選択することが期待されます。)

児童・生徒の結論が、全て同じ方向性であった場合は、先述の「対立する概念」や「視点の異なる概念」を用いて「このような主張をする人がいたら、みなさんはどうしますか?」といったように、思考の多様性をふまえて議論することを経験させてみてください。(ダスグプタ教授も、たとえば地球環境については「全く悪くなっていない」「破滅的に悪くなっている」という両極端の主張がされることを指摘しています。)

また、次の段階としては、たとえば「富」について、「みなさんはどういうものが富だと思いますか?」と問いかけて、児童・生徒にそれぞれの考える富を提案してもらうなど、さらに議論の幅を広げていくと面白いかもしれません。

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パーサ・ダスグプタ教授

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