低炭素燃料基準
2007年、スパーリングさんはカリフォルニア州知事の依頼を受け、州の大気汚染と気候政策を担当する大気資源局の役員に就任しました。カリフォルニア州は、スパーリングさんが策定に協力した排ガスゼロ規制など世界に先駆けた政策を実施しており、役員会の決議は全米をはじめ、日本や世界に影響を与えるほどの大きな力を持っていました。一方で、まだ誰も手がけたことのない分野であるため、難しい課題も抱えていました。
スパーリングさんの仕事は、エネルギーや気候変動について、車、燃料、消費者の観点から対策を考えることでした。その中でも最も重要な仕事は、低炭素燃料基準というルールをつくることでした。低炭素燃料基準とは、輸送用の燃料が、「作られ」、「運ばれ」、「使われる」際に排出される温室効果ガスの量が一定の基準以下とするように義務付けるルールです。生産や輸送の過程でも燃料を使うと温室効果ガスが排出されるので、燃料に関わるすべての過程で排出を抑制しようとしたのです。