学習の手引き
マリン・ファルケンマーク教授のものがたりはいかがでしたか?
ここは、みなさんがものがたりについて復習したり、理解を深めたりするためのページです。ここだけに書いてあることもありますよ!
<対象:小学校高学年以上>
まずはクイズです!
問1:ファルケンマーク教授が水文学の研究を通して、特に熱心に取り組んできた水問題はどのようなことだったでしょう。
問2:ファルケンマーク教授は、アフリカの食料問題を解決するために、どのような水が最も重要であると言っているでしょうか。
こたえ
問1:ファルケンマーク教授が水文学の研究を通して、特に熱心に取り組んできた水問題はどのようなことだったでしょう。
こたえ:3. 途上国の水不足の問題
私たちの生活に欠かせない水資源ですが、世界各地で、水不足、水の汚染、洪水被害の増大などさまざまな水問題が発生しています。
かつて先進国にとっての水問題といえば、もっぱら工業化がもたらす水汚染の問題でした。そのため、先進国の人間は水不足や水欠乏といった問題が発生することに思いが及びませんでした。しかしファルケンマーク教授は、水問題は地域によって違うこと、そして途上国には深刻な水不足の問題があることに早い段階で気付き、その問題の解決を目指して今日まで研究を続けてきたのです。
問2:ファルケンマーク教授は、アフリカの食料問題を解決するために、どのような水が最も重要であると言っているでしょうか。
こたえ:2. 土に浸透して植物に利用される水
アフリカの食料問題を解決するにあたってファルケンマーク教授が注目したのは、グリーンウォーターでした。教授は、地上に降った雨水のうち、土に浸透して植物に利用される水のことをグリーンウォーターと呼んでいます。また教授は、地表面を流れて河川水になる水のことをブルーウォーターと呼んでいます。土に浸透してそのまま地下水になる水も、ブルーウォーターです。
教授は、将来的な水問題の解決には発想の転換が必要だと考えています。そして、若い人たちがグリーンウォーターに関心を持ち、その活用方法や技術を発展させていくことを希望しています。例えば、ブルーウォーターを使うことなくグリーンウォーターだけで農業ができる「コンサベーション・ティレッジ(保全耕うん)」という方法があります。これは、農地を耕すときに全体を耕すのではなく種をまくところだけを細く耕すことで土の水持ちをよくし、かんがいに頼らなくても作物を栽培できるようにする方法です。
ここはおさえておこう
水資源や水を取り巻く環境は地域によって違う。
アフリカなどの乾燥地域における食料生産には、グリーンウォーターの活用がとても重要である。
水は「地球の血流」であり、私たち人間の生活、そして私たちの生活の基盤である生態系において大きな役割を持っている。
もっとくわしく
ファルケンマーク教授が自身の生涯を通じて取り組んでいるアフリカの水問題。ここでは、アフリカの水不足の問題とその原因について詳しく説明します。
1. アフリカの水不足の問題
現在、気候変動と並んでもっとも重大な環境問題は世界的な水不足と考えられています。
ファルケンマーク教授は、水不足の程度を示すための「ファルケンマーク指標」を考案しました。この指標はさらに発展し、現在は、ある国や地域における1人当たりの1年間の水使用量が1,700m3以下の状況を「水ストレス」、1,000m3を切った状態を「水欠乏」、500m3以下を「慢性的水欠乏」と定義するのが一般的になっています。
ファルケンマーク指標に基づく世界の水不足の状況
UNESCO, 2012. Figure 4.8 Freshwater availability (m3 per person per year, 2007). The United Nations World Water Development Report 4: Managing Water under Uncertainty and Risk, p.124. © UNESCO, Obtained March 7, 2019 from https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000215644.
国連の報告によると、世界総人口の5分の1にあたる12億人が水欠乏の地域に住んでおり、中でも、アフリカ大陸は、深刻な水不足に瀕している国が最も多いとされています。 なぜ、アフリカは水不足になるのでしょうか。
2. アフリカが水不足になる原因
アフリカは、気候的、地理的条件により、もともと水不足が起きやすい地域です。例えば、ファルケンマーク教授はブループラネット賞受賞者記念講演で「アフリカにはヒマラヤがありません。」と話していました。アジアのヒマラヤ山脈はインダス川、ガンジス川などの名だたる大河の水源となっていますが、そのような水源となる山地がアフリカにはないのです。
また、人口増加も水不足の大きな原因です。アフリカの人口は今後も増え続け、2050年には2017年時点の約2倍になると予測されています。
さらに、地球温暖化や、過度な放牧、農業などの人間活動の影響によって砂漠化が進行し、さらなる水不足を引き起こす可能性もあると考えられています。
このようにアフリカの水不足の原因はいくつもあり、それらの原因が相互に関係しあって問題を複雑かつ深刻にしています。こうした状況を少しでも改善するために、ファルケンマーク教授は研究を続けているのです。
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