指導者のかたへ

「ブループラネット賞ものがたり」は、環境学習にも広くご利用いただきたいという思いから、ひとつの「ものがたり」に対して「学習の手引き」「参考情報」そしてこの「指導者のかたへ」という、三つの「環境学習補助コンテンツ」を用意しています。
このページでは、指導者のかたが教材として利用することを想定し、指導の助けになるような情報を掲載しています。
学校での環境学習の授業や、お子さまの自主学習などに、ぜひお役立てください。

<対象:学校の先生、保護者など、教育指導にあたるかた>


指導に向けたものがたりの再確認

ダイアモンドさんは並外れて広く深い知的探求によって、環境問題と人類文明史のつながりを解き明かしてきました。著書『文明崩壊』では、環境が大きな要因となって滅びた文明、そして滅びなかった文明を紹介し、私たちが生きる現代文明、そして未来の文明のあり方について鋭く提言しています。
未知なる文明の謎と魅力は私たちを強くひきつけます。子どもたちには、滅びた文明の探求を通して、文明の成り立ちと環境の関わりを知ってもらうとともに、自分達の生きる社会が今後どうあるべきか考える機会を提供してはいかがでしょうか。


指導方法の例

滅びた文明はどうすればよかったのか

1. かつて繁栄したものの、今は滅びてしまった文明をひとつ選びます。
  • ダイアモンドさんの著書『文明崩壊』では、さまざまな文明を紹介していますので、参考にしてください。
2. その文明の特徴を書き出してみます。
グループワークで行ってもよいでしょう。
  • 大きく「どんな文明だったか(環境や人間の暮らしなど)」と「どのように滅びたか」に分けて書き出してください。
  • 図鑑やインターネットなどで調べることができます。ダイアモンドさんの著書も参考になります。
(例)イースター島

①どんな文明だったか

  • 南太平洋上の孤島。
  • 亜熱帯性雨林の広がる緑豊かな島だった。
  • 人間が住み始めたのは西暦800年ごろ。カヌーでやってきたポリネシア人だった。
  • 島民は有名な巨大石像モアイを作っていた。
  • 穏やかな気候の火山島で、土壌は肥沃だった。島民はこの土地でサツマイモ、ヤムイモなどを育て、ニワトリを飼育していた。
  • 島には6種類の陸鳥と、少なくとも25種類の海鳥が生息しており、島民はそれらの鳥を捕って食べていた。
  • 島の周囲にはあまり魚がいないため、島民はカヌーで沖合に漕ぎ出し、外洋のネズミイルカやマグロを捕っていた。

②どのように滅びたか

  • 島民は、燃料として使うため、カヌーを作るため、そして、モアイを作るための石を移動させるためなどの目的で、木をどんどん伐採した。人口が増えるにつれ、伐採のスピードは加速した。
  • 1600年頃までには、熱帯雨林にあったほとんどの木々は伐採された。その結果土壌浸食が進行し、木々が再生できない土地になった。
  • 森林を住み家とする全ての陸鳥がいなくなり、海鳥もほとんどがいなくなったため、鳥が捕れなくなった。
  • カヌーが作れず、漁業ができなくなった。
  • 食料不足が深刻化し、島民同士の間で争いが起きた。ピーク時に1万人いたとされる島の人口は2000人まで激減した。
  • 疫病によってさらに人口は激減し、最終的に島民はわずか数百人となって文明は崩壊した。

3. 以下について自由にディスカッションします。

①滅びた文明の人たちはどうすればよかったと思うか。
自分たちがその文明の人たちになったつもりで考えてみることをおすすめします。
(例)

  • 木を伐採したらその分だけ植えるようにすればよかったのではないか。
  • 孤島ではなくて大陸だったら、木や食料をわけてもらえたのではないか。

②私たちの現代文明は滅びた文明から何が学べるのか。
(例)

  • 森林破壊の問題は今でも深刻だが大丈夫だろうか。
  • 今は地球全体が巨大なイースター島のようなものなのではないか。
  • だとしたら森林保護も地球全体で取り組まなければならないのではないか。

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ジャレド・ダイアモンド教授

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