4. 手つかずの野生の場所を、いつまでも

セレンゲティからのメッセージ

ボルナー教授は今、フランクフルト動物協会を退職し、スコットランドのグラスゴー大学の教授として教えています。そして、動物学者としてリカオンの保護プロジェクトや、ヌーやシマウマの個体数を数えるプロジェクトなどにたずさわっています。

しかし、セレンゲティでの仕事が終わったわけではありません。今、ボルナー教授の一番の関心ごとは、未来のセレンゲティを担うタンザニアの若者たちを育てることです。これからもセレンゲティにはたくさんの問題が起こるのでしょうが、そのときにセレンゲティを守れるのは、自分たちのほこる国立公園のために熱意をもって国際的に立ち上がれる、タンザニアの若者たちだからです。

ボルナー教授が考えるこれからの大きな問題は、人口増加と気候変動です。まず、人口が増えれば増えるほど人間には土地が必要になるので、保護されている地区がおびやかされることになります。また、気候変動によって、雨のルートが代わり、かんに水場が見つけられなくなったら、動物達は死んでしまいます。これらは、セレンゲティの問題であるとともに、地球全体の問題でもあります。

ボルナー教授は、この地球上のどこかに、人間の手がほとんど入っていない場所、本来の自然の営みが見られる場所を残しておくことが、人間みんなにとって必要なのだといいます。

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「私たち人類はみな、手つかずの野生の場所を必要としています。たましいのどこかがそう願っているのです。」セレンゲティを訪れた人は、たとえそれが初めてであっても「まるでふるさとに戻ってきたようだ」というのだそうです。

セレンゲティがいつまでも今の姿でそこにあること。それはきっと私たち人類がいつまでも健やかであるため、そして青い地球がいつまでも青くあるための、希望なのです。

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マルクス・ボルナー教授

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